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| No.292 2010年2月6日 Pg.5 |
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| NY専業主夫日記 |
| 「わくわくリハーサル」山崎卓也 (95) |
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毎年、年が開けて二回目の土曜日から日本語劇のリハーサルが始まる。娘が通う補習校の有志教員と生徒が出演者。私は脚本と監督を務める。
練習はいつも一時半から。学校に着いたら、私はまず子供達を迎えにカフェテリアに行く。知人とすれ違うと、決まって、
「今からリハーサルやねん」と嬉しそうに言ってしまう。「本番は二月二十日やから見に来てな」と宣伝も忘れない。
映画学校時代から私はリハーサルが大好きだった。シナリオ執筆、リハーサル、撮影、編集という一連の作業の中で一番好きだ。シナリオ執筆はアイデアの枯渇と書き直しの連続でとても辛い。撮影は技術的にうまく行かぬ事が多く、常に時間との戦いで胃が痛い。編集は撮影での不備が露呈し、それをどう直すかに七転八倒する。だが、リハーサルだけは自由に実験ができる。ストーリーの中に眠っている色々な意味が演技を通して明らかになっていく。役者が体験する真の感情は電気ショックのように自分に伝わる。リハーサルではしょっちゅう鳥肌が立つ。自分が受けた感動を缶詰にして、そのまま観客に与える事ができればといつも思う。
役者経験の浅い日本語劇の子供達はまだまだ自分で自分を解き放つ事ができない。だが、先生達と練習を重ねる内に、段々と舞台の上で自分らしさを取り戻してくる。やがて十の違う個性がスープのように混ざり合う。彼等の舞台は、個々の味が全体のダシとなり、皆がそのダシに影響を受けつつも独自の風味を保っている、一口一口がユニークなスープなのだ。
そのスープには一つ大切な隠し味がある。出演者の親達だ。スタッフとして参加し、子供達以上に舞台作りに没頭する。凝った衣装を作り、慣れぬ照明や音響をこなし、大小道具も少ない予算を創意工夫でカバーする。
私は広いカフェテリアを一望した。馴染みの子らのテーブルにすぐに目が行った。
「さあ、そろそろ行こか」
「はいっ!」
小さなスター達は元気よく一斉に立ち上がった。
(このコラムは隔週で掲載します)
http://ameblo.jp/takayayamazaki/
●(週刊NY生活・本紙記事の無断転載を禁じます。www.nyseikatsu.com)
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