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| No.292 2010年2月6日 Pg.15 |
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| シネマ映写室MOVIE |
| The White Ribbon 平和の仮面のその奥に |
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出来事を淡々とつづりながら深層心理に迫る作品で知られるオーストリアの監督・脚本家ミヒャエル・ハネケの新作。第62回カンヌ映画祭で最高賞のパルムドールを受賞し今年のアカデミー外国語映画賞のトップ候補と目される。第一次大戦直前のドイツ北部の村を舞台に男性支配、権力主義の流れの中で村人たちが無意識のうちにファシズムへと突き進んでいく様を描く。といってもあからさまな思想描写があるわけではない。ハネケ監督特有の限りなく灰色に包まれた世界がそこに広がる。
村にはプロテスタントの教会が一つあり、村の人々は礼拝を含め全員がそこに集まる。村には牧師も教師も医者も一人しかいない。お互い誰もが顔見知りの小さな村だ。大地主の男爵が村人の半数を雇い入れ、男爵家族を頂点に村の暮らしは成り立っている。妻は夫に従い子供らは親を敬い従順でなければいけない。
一見、村はきわめて平和だ。だれもが挨拶を交わし子供たちの笑い声も耐えない。が、ある日、医者が自宅に戻る途中、落馬して大怪我をする。木と木の間に細いワイヤーが張ってあり馬がそこにひっかかったのだった。いたずらにしては悪意がある。警官が原因を調べようとしたときにはすでにワイヤーはなくなっており、うやむやのうちに単なる事故という印象を残したまま時は過ぎていく。
しかし奇妙な出来事は一つ、また一つと続く。男爵の息子が襲われ、納屋が焼け落ち、知的障害のある子供が袋叩きにあう。学校教師は牧師の子供たちが事件に関係しているのではと目を付けるが真相は闇の中だ。親のしつけがあまりに厳しく、うっぷん晴らしとも考えられるがそれだけではない。平和そうな家庭内で暴力、性的虐待が日常的に行われている現実は村全体がどす黒い悪に満ちていく様を映し出す。
ブルックハルト・クラウスナー、スザンネ・ロタール、ウルリッヒ・タクールらが出演。英語字幕付きドイツ語。2時間25分。R。(明)
写真=村は一見穏やかで平和だ
Photo ©Copyright Films du Losange, Courtesy of Sony Pictures Classics
●(週刊NY生活・本紙記事の無断転載を禁じます。www.nyseikatsu.com)
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