CHOCOのNYを生き抜くアーティスト対談〜10年前の君へ,10年後のあなたへ〜Profile5:アーティストTaka Horii

2018年07月29日
①conversation(close‐up)の
アーティストTAKA作『conversation』

NYでプロフェッショナルに活躍する実力派トップアーティスト対談シリーズProfile 5: アーティストTaka Horii(堀井清孝): (以下TAKA)

CHOCO:TAKAさんは今回チェルシーの大西ギャラリーでの出展のため3度目のニューヨーク入りとの事ですが、1度目、2度目の時とは何か違いますか?

②Onishi Gallery a man and woman Ⅲ 2018.1の会場風景
2018年1月大西ギャラリーでの展示会 『a man and woman Ⅲ 』

TAKA:1度目のニューヨークは昨年2月。ビジネスのスタンスで来ました。NY NOWというジャビッツセンターでの展示会で、私がデザインした和紙のアクセサリーやポーチ、メンズジャケットなどを出品し、現地の方々の反応を確かめるためでもありました。

③2017NY NOW 展示風景
2017年NY NOW 展示会風景
④2017NY NOW 展示風景

2度目は昨年10月後半に来まして、この時から『商品を作る』というよりも、もっと『絵を描く』方に軸足が傾いたかと思います。滞在中に、12月のブルックリンのパークスロープにあるJ-Collaboと、また1月には大西ギャラリーにて2点ずつ出品が決まったことで、帰国後からグループ展までの1ヶ月半はとにかく大変で(笑)。

⑤a man & a woman -⑥Ⅰ-
『a man & a woman -Ⅰ-』J+COLLABO展示会
⑥a man & a woman -Ⅱ-
『a man & a woman -Ⅱ-』
⑦a man & a woman -Ⅲ-
『a man & a woman -Ⅲ-』大西ギャラリー展示会
⑧a man & a woman -Ⅳ-
『a man & a woman -Ⅳ-』

CHOCO:1ヶ月半で4点を制作ですか。それは相当な集中力だったでしょうね。それほど立て続けに出品を決めるということは、以前から日本でもご縁があった場所なのでしょうか?

TAKA:いえ、これが飛び込み営業でして。これまでの作品のポストカードや、去年5月に銀座で出品した作品3点の画像を観て頂き、OKを頂きました。大西ギャラリーでは、ちょうどこの6月に再び2週間出品させて頂くことになり、先日オープニングを飾ったところです。(対談時は6月半ば)

⑨クリティークセッション3
2018年6月大西ギャラリー
⑩conversation
『conversation』
⑪pray
『pray』

CHOCO:日本でのこれまでのご活躍があったからこそ、作品が海を渡ったニューヨークでも評価されるようになったのですね。(大西ギャラリー6月の展示会のポストカードを見て)それにしても、1度目の作品と2度目の作品では、表情がかなり変わった気が致します。

⑫PostCard
SUMMER SHOW展示会の作品ポストカード(右端)

TAKA:これまでは、作品をどう表現していくかを消化できない部分がありました。それをとにかく描き出して、客観的に経験することを繰り返しているうちに、自分のなかでも劇的に変化していることを感じました。

今までは、自分が描きたいものへの『偶然のアクションペインティング』という感じでしたが、今では自分からアクションを起こす形になりました。
つまり、“好きなこと”を表現できるようになったというか(笑)。

CHOCO:今回のTAKAさんの作品も今までと違って見えますが、やはり作品は嘘をつかないというか、TAKAさんの作品ならではの「匂い」がちゃんと残っていますよね。大胆であり、繊細でもある。そんなご自身のテイストを表現する上で、大事にしていることはありますか。

TAKA:今回ギャラリーでも、短期間でここまで作品を変える人は珍しいと言われました。でもそれが「完成形として仕上がっていて、迷いもなくブレていない」と言って頂き、嬉しかったですね。強い色であること。ぼかさない。原色。それらを軸とした作品にこだわり抜きます。

CHOCO:墨というと、水と混じり合う淡いイメージがあるのですが、強い色にこだわるのですか。

TAKA:墨というのは不思議な素材で、水を含んだ色も一つの『色』として成立すると私は感じています。それが水を含んだ色なのか、元からそういう色のカラーバリエーションであるのかは、作者の意図によって印象は変わります。

インスピレーションを、いかにハッキリしたイメージに投影できるか。それが生命線です。忠実に、パワフルに表現する過程を楽しんでいます。

CHOCO:そしてこちらの作品、和紙をしわくちゃに加工しているとのことですが、絵というよりも浮き上がった立体に見えますね。抽象的なのですが、じっと見ていると箇所箇所の色みの違いが影から生まれていて、それに気付いた瞬間から骨格のあるまた違う景色が広がり出すかのよう。

⑬Onishi Gallery 作品 conversation ① 2018.6
『conversation』

TAKA:実は、昔から立体を勧められることが多かったんです。中学の時の美術の先生は、私が多摩美(多摩美術大学)在学中にも良く遊びに来られて、いつも彼から「お前は立体を追求するべきだ」と言われていました。先生と生徒を越えた仲間のような関係でして、私の進む道を見据えていたかのように。

彫刻はムリだろうと長年拒んで来ましたが、近年では作品がどんどん2Dから3D に近づいているのに気付きました。今後の作品も今よりも平面になることはないと思います。

⑭Onishi Gallery 作品 pray ③ 2018.6
『pray』
⑮pray(close‐up)
『pray』(close‐up)

CHOCO:なるほど、そういう形を変えて一貫した作品を作り続けるのは、ルールを壊すことでも、守ることでもありますね。

TAKA:先日、あるご縁で繋がったロシアの大企業の代表の方に、ロシアに来て挑戦してみないかと言われました。1300年の歴史を誇る手漉き和紙の作品を見て頂いたところとても喜んで下さって。とんでもないスケールの話しかもしれませんが、もしも許されるのならば、これまでの枠を越えて海外でも挑戦し続けたいと思います。そして日本の宝とも言える和紙と墨を使って、今後も何百年、何千年と残せる作品を輩出したい。作品を通して朽ちない歴史を作ることを考えています。

CHOCO:なんとロシアですか。ぜひニューヨークだけでなく、ヨーロッパでもご活躍頂きたいです。日本の文化と伝統を継承し海外にも広めて行く活動は、アーティストとして最高の栄誉でありますね。特に海外にいると、日本人としての誇りを守ることの大切さをいつも考えさせられます。

ところで、この対談で必ず伺うことなのですが、オフは何をされていますか?

TAKA:うーん...オフというのはほとんどありません。どちらかと言うと、絵を描くのが癒しなのでオフでしょうかね。芸術が自分にとっての最高のオン状態であり、オフ状態です。仕事はオフにはできませんよね。常にオンです。
でも描き続けていると、たまに楽しいのかしんどいのか、答えがでない時もあります。

でも、総括するとやっぱり楽しいんですよね。続けられないでしょう、自分が楽しくないと。ちょこさんも歌っていてそうでしょう?

CHOCO:ええ、確かに。私は曲を書いている時いつも「ワタシすごい」と思って書いています。自分の曲に元気をもらったり号泣したり、一人で忙しい(笑)。でもそれくらいのめり込んで自分で素晴らしいと思えるものでないと、人前には出せないので。

TAKA:人は皆、『無視されたくない。誰かに認めてもらいたい』と思って生きています。芸術家はそれよりももっと『認めてもらいたい!』が強いと思います。だから、誰かに認めてもらうためにはまず、自分の作品が自分の好きなものでないと意味がない。

CHOCO:歌でも絵でも、すごい技術がある人って山ほどいますよね。でも、芸術は誰かと順位を争う競技じゃない。ある程度技術はあって当たり前ですが、結局は作る人、表現する人のスピリットやこだわり、人生そのものに私たちは感動しているのだと思います。自分の作ったものが最高と思えるって、幸せですよね。自分自身を投影したものなので、当然かも知れませんが。

さて、この対談のテーマである10年前のご自身に対して思うことを教えて頂けますか?

TAKA:10年前の43歳の頃は、桜井市(奈良)の1200人を収容する市民ホールの館長になった頃でした。昨年9年間の任務を終えたところです。また、’98年に発行し始め、最初の10年間は広告を取らなかったフリーペーパー「やまとびと」に、初めてスポンサーがつくようになった頃です。

表1_vol.85やまとびと
今年で20周年を飾った『やまとびと』季刊誌(vol.85)

イベントを立ち上げるのが好きで、それまでもずっと地域貢献のボランティアとして、季節ごとのお祭りやら、芸能関係やら、子供たち向けのイベントやらに携わって来ましたが、10年前はイベントを行うことで、ようやく報酬を得るようになった頃でもあります。

その頃は12月30日から1月3日以外の休みの日はなく、週7日勤務で働いていました。10年というより、これまでの30年間はずっとひたすら働いて来ました。抱えるものや守るものが多く、大げさに聞こえるかも知れませんが、生きるか死ぬか、がむしゃらに動きました。よくやって来たなぁと思います。何も努力せずに結果が出たり、気運が上がるなんてありえないこと。とはいえ、イケてると思った時に急降下したりもします(苦笑)。その上り下りが、人生ですね。生き抜く力、生命力が必要です。

CHOCO:才能よりも技術よりも、生き抜く力というのはこのニューヨークでは一番必要とされる能力かも知れません。今後は多少の障害には動じることなく、目標に真っすぐ歩を進めて行かれるのだという気が致します。

それでは最後の質問ですが、10年後のご自身はどのようなご活動をされていると思いますか。

TAKA:10年後には63歳。長男がその頃には私の会社を継いでいて、彼の目指す会社になっていて欲しいと思っています。そして私もアーティストとして自立できていると思います。

アーティストというのは、 作品を通して自分自身を見てもらう立場。たとえ嫌われたとしても、興味を持って頂けないよりは良い。人に見てもらうために描き、評価を頂く立場に居続けたいです。

CHOCO:人間臭さの具現化がアートであるなら、すべての人に好かれるのは無理ですよね。前に出れば出るほど、理由もなく嫌われる機会は自然と増えるものではないかと思います。それでも構わず、一歩を踏み出した作品を生み続ける勇気こそが、人に感動をもたらすのかも知れません。

今後のご活躍も楽しみにしています。本日はどうもありがとうございました。

-次回展覧会-
「Love, Family and Friends」展
会場:在ニューヨーク日本総領事館広報センターギャラリー
住所:299 Park Avenue 18th Floor, New York, NY 10171
期間:2018年12月4日〜19日

TAKA HORII_Profile

堀井 孝 (Taka Horii)
1965年生まれ、奈良県在住
多摩美術大学美術科油画科 卒業
卒業後、素材としての紙に興味を持ち、ファンシーペーパー、和紙の販売代理店で紙について学ぶ。
2015年、日本の伝統的な素材である和紙に着目し研究をはじめると同時に、墨と和紙を使った現代美術墨作家として活動をはじめる。
彼の作品は伝統的な素材と永続性のあるアクリルの見事なコンビネーションから作り上げられると評価される。

大西ギャラリーでの「夏期グループ展第二部」クリティークセッションの様子はこちら!!

⑫CHOCO YOSHIOKA

吉岡ちょこ (CHOCO YOSHIOKA)oooo
シンガーソングライター
ACE音楽スタジオ代表
http://acemusicstudio.com/
ALIVEパフォーマンスショウ総合プロデューサー
https://www.alivenyc.net/
京都出身。90年代後半に来米しボストンのバークリー音楽大学を卒業後ニューヨークに移住。パフォーマンス活動の傍ら数々のショーをプロデュース。

この対談コーナーに関するご感想・ご質問は下記メールアドレスまで。
info@acemusicstudio.com

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